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睡眠障害:気分障害(躁うつ病)とは
気分障害(躁うつ病)とは
精神障害に伴う睡眠障害として、もっとも多いのが気分障害による睡眠障害です。 気分障害は、双極性障害(躁
うつ病)と、うつ病性障害(うつ病)に大別されていますが、ここでは主に後者に見られる睡眠障害について述べます。
うつ病は、睡眠障害をもたらす精神疾患の代表といえます。 うつ病の方の大半が不眠を合併
し、あるいは逆に不眠が持続している人の多くがうつ病を引き起こします。 うつ病に伴う睡眠障害は、早朝覚醒が
特徴的です。 なかなか寝つけない入眠障害があり、夜中の2時、3時に目が覚めて、再び眠ることができなくなって
しまう早朝覚醒がよくみられるのです。 そうした不眠症状に加えて、食欲不振、意欲低下、朝起きて気分が落ち込む、
いらいらするといったことがあると、うつ病の疑いがあります。
うつ病の不眠の大きな特徴は、夜間のみならず、昼間もまったく眠れないということです。
その原因として、うつ病の方が、夜も昼も眠れないのは、覚醒時に、次に来る睡眠を誘発するはずの物質を蓄える
メカニズム(能力)に障害があることが考えられています。 脳で作られる睡眠物質は、覚醒していればいるほど脳の中
にたまり、睡眠を誘発します。 その物質の量が、うつ病の人と健常者ではかなり差があることが明らかになっています。
うつ病の人は、睡眠物質がなかなかたまらないため、入眠までに時間がかかり、眠りの維持もできないのです。
もう一つの大きな特徴は、眠っている時によく夢を見ることです。 これはレム潜時(入眠から
最初のレム睡眠が現われるまでの時間)が関係しています。 うつ病の人は、最初のレム睡眠が現われる時間が早く
なることがわかっています。 健常者の睡眠は、入眠してまず、深いノンレム睡眠に入り、約90分が経過したところで
レム睡眠に移行します。 ところが、うつ病に人は、30分以内にレム睡眠が表れるのです。 うつ病が重症になった人
が、「夢ばっかり見ます」というのは、寝入りばなにレム睡眠に入り、レム睡眠時に特有の現象である夢を見ていて、
それが中途覚醒が多いために、記憶に残ってしまうためです。
また、睡眠潜時(入床・消灯から寝つくまでの時間)でも健常者とうつ病の人では大きな差があります。 健常者は
遅くとも約20分で入眠していますが、うつ病の人は1時間近くかかります。 特にメランコリー親和型性格(生真面目で
几帳面で責任感の強い、うつ病にかかりやすい病前性格)の単極型うつ病の人は、睡眠潜時が長くなり、同時にレム
睡眠潜時が短くなっていることが明らかになっています。
うつ病に伴う睡眠障害の影響
うつ病に伴う睡眠障害は生体機能にも様々な影響をもたらします。 うつ病を生体リズムの観点から見ると、体温は
平均して昼も夜も上昇していますし、血圧も上昇、脈拍も増加しています。 副腎皮質から分泌されるホルモンの
コルチゾールやACTHは平均分泌の亢進が見られ、脳下垂体から分泌されるホルモンのプロラクチンもまた平均分泌
が亢進しています。 このように、うつ病の人は、見た目は沈みこんで元気がないのですが、体の中は不安と緊張が
高まっているのです。
うつ病に伴う睡眠障害の治療
うつ病の薬物療法で用いるのは、主に抗うつ薬です。 不安感の解消には、精神安定薬(抗不安薬)を併用すること
もあります。 睡眠障害の治療には、早期覚醒を改善するために、短〜中時間作用型の睡眠薬を用います。
1999年に日本で使用が承認された抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、メラトニンの分泌に
影響し、夜間の分泌を高めるというデータがあります。 また、2000年に承認された抗うつ薬のSNRI(選択的
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)も現在使用されています。
その他、うつ病の治療には、行動療法や精神療法も重要です。
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